推理小説か?

私は小説家になりたかった。それもミステリー作家。いつか傑作を発表しようと私のPCには書きかけの作品がいくつかあったりする。

そして新しく優れた作品をと思うばかりに、実はいつも、脳内では激しく殺人事件が起こっている。

例えばお昼に立ち寄ったお蕎麦屋さん「そば太郎(仮名)」では、斜め前で豚丼と暖かい蕎麦のセット570円をモリモリと食べていた初老の役員っぽいスーツのおじさんが突然苦しみだして倒れ第1の殺人事件が始まる、とか、昨夜は、機嫌よく飲んでいた焼き鳥のチェーン店「鳥くし(仮名)」のカウンターで、しそつくねを運んでくれた愛想のいいバイトの女子が突然スマホばっかり見ている隣のサラリーマン客に隠し持っていた包丁で切りかかり、実はこの店のオーナー社長が犯人でスタッフを洗脳して資金を貸してくれなかった金融機関の担当者を殺す計画だったが全くの人違いで刺されてしまった、とか、いつも全く居合わせただけの何の罪もない全くの初対面の人々を死の淵においやっているのですゴメンナサイ。

そして先日は楽しく参加させていただき笑いが溢れた山菜取りバスの旅で、バスの中で冗談ばかり言っていた夫婦が突然苦しみだし即息を引き取り大パニックになり、そして翌日の朝刊を読んでいたら昨日の参加者のうち、山菜と毒草を間違い一番前に座っていた歌の上手い中年女性や気の利くスタッフ含む5人もの参加者が死亡していたという記事を見る、という鬼畜の所業並の設定までしてしまっていたりしましたゴメンナサイ。

モチロン結末は名前やプロフィールまで決めたいぶし銀の探偵やカッチョいい警官が登場して見事な謎解きで犯人逮捕となり、めでたしめでたし嗚呼ヨカッタ、となるのだが、不思議で優れた作品にするために事件を複雑化したくて、余計に人を殺害するとか、謎の人物を登場させてしまうために、あのヒトは死ななくてもよかったとか、どうしても処理しきれない事項などが発生し、話しが膨らみ過ぎて爆発、という事態に陥るのである嗚呼ラビリンス。

そしてもう一つ大問題が、それは、推理小説を書きたいくせにあまり想像力がないため、主要な登場人物が知ってる人がみたら「あいつや」とバレてしまうこと。もし将来私がサントリーミステリー大賞などを受賞してしまい、私の作品が日の目を見る日が来たとき「これオレちゃうん」ということがあるかもしれませんが、殺されてるからといって私が常々殺したいと思ってるのでは本当に全く決してありませんホンマにゴメンナサイ。